敷金(テナントからの返還請求)

敷金

敷金

敷金とは,賃貸借契約にあたって,賃借人の負担する一切の債務を担保する目的で賃貸人に対して交付される金銭のことをいいます。この敷金は,賃貸借契約の終了の際に,賃借人に賃料不払い等の債務不履行があれば当該不払い等の部分を控除したうえで賃借人に対して返還されます。

敷金返還請求権の発生時期

敷金返還請求権の発生時期は,賃借目的物を明け渡すときに発生するとされています。そのため,未払い賃料のある賃借人の退去時に,敷金と未払い賃料を相殺してほしいという要求は認められません。

敷金返還請求権の相手方

賃貸不動産が賃借期間中に売却される場合,賃貸借契約は原則として新所有者に引き継がれることになります。すなわち,旧所有者との間で締結した賃貸借契約は,新所有者に引き継がれますので,賃借人としては,賃貸不動産の売買があった場合には,新賃貸人に賃料を支払うことになります。

そして,敷金についても,新所有者に引き継がれますので,賃貸不動産の売買がなされた場合,賃借人が敷金返還請求をする相手方は,新所有者となります

敷金返還請求権の問題点

敷金返還請求に関連して,いわゆる敷引特約の有効性の問題や,賃借人の原状回復義務の範囲をめぐる問題があります。

敷引特約の有効性

敷引特約とは,敷金のうちの一部を,賃貸借終了時に賃借人等に返還しない特約のことをいいます。

消費者契約法の適用がある賃貸借においては,同法10条により当該特約が無効とならないかが問題となります。敷引特約の有効性については,賃料相場に対して本件賃料がどれくらいであるか,敷金として差し入れられている金額がどれくらいであるか,敷引の割合等を考慮の上,判断されます。

原状回復義務はどこまでか

賃借人が賃貸不動産を明け渡す際,不動産を原状に回復する義務(原状回復義務)を負います。この原状回復義務については,通常,賃貸借契約書に具体的な原状回復義務の範囲等が記載されますが,原状回復義務の範囲をめぐって争いとなることがあります。たとえば,賃貸人側の業者が原状回復を行い,賃借人に対して高額の原状回復費用を請求し,これを敷金から充当する場合等において,当該原状回復費用が妥当であるかどうかが争点となるケースがあります。

なお,賃貸住宅における原状回復義務の範囲については,「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」が国交省より公表されており,一定のガイドラインが示されていますが,賃借人と賃貸人の負担区分については,迷う場合もあります。判断に迷う場合には,専門家に相談するとよいでしょう。

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